HYTSヴァイオリンな日々

ヴァイオリンの魅力と謎について日々思うことを書きたいと思います。

モダン・イタリアン・ヴァイオリンの銘器

モダン・イタリアン・ヴァイオリンは、一般的にGiovanni Francesco Pressenda(プレッセンダ 1777年~1854年)以降から1950年代程までに製作されたヴァイオリンのことです。

 

ヴァイオリンで有名なものは、ストラディバリウスやガルネリ・デル・ジェスですが、これらは1700年代前半に製作されたヴァイオリンです。現在は、2億円~15億円程度で取引されていて、非常に高額です。

 

モダン・イタリアン・ヴァイオリンは、200年以上前に製作されたオールドヴァイオリンほどは古くはないですが、50年以上前に製作されたヴァイオリンなので、少し古い感じですね。

 

モダン・イタリアン・ヴァイオリンは、アマティ、ストラディバリウス、ガルネリ・デル・ジェスなど古いクレモナの銘器を意識して製作されているのですが、一つ一つが個性的です。クレモナの銘器を超えるパーソナルモデルをそれぞれの製作家が模索していた時期だったようで、個性的で面白い楽器が多いです。

 

価格は、300万円~7000万円ほどでしょうか。

 

僕がみた楽器の中で、今でも心に残っている製作家のヴァイオリンを4つほど書きたいと思います。

 

 

①Hannibal Fagnola (アンニバル・ファニオラ 1866年~1939年)

ファニオラは、トリノの製作家で、楽器のコピーを製作する達人だったようです。僕が弾いたのは、プレッセンダのコピーでした。赤いニスで、細工も美しかったです。炎がブワッと燃え上がるような音で、パワーがありました。コンチェルト弾いても、オーケストラに負けないソリスト向きの楽器だなぁと感じました。

状態がよくて出来の良いファニオラのヴァイオリンは、2000万円以上はするそうです。

 

 

②Romeo Anntoniazzi (ロメオ・アントニアッツィ 1862年~1925年)

兄弟で一緒に製作をしていたようで、ロメオ・アントニアッツィは弟だったようです。楽器製作に浮き沈みがあった方だったみたいですが、凄くいい音のする楽器に出会ったことがあります。僕が弾いたのは、1890年後半に製作されたヴァイオリンで、パワーのある音ではないのですが、高貴な響きを持つ楽器でした。細工は緻密で美しかったです。古きよき時代を感じる音でした。

 

 

③Ansaldo Poggi(アンサルド・ポッジ 1893年1984年)

ストラディバリウス、ガルネリ・デル・ジェスを独自にアレンジしたモデルの楽器を製作したボローニャの巨匠です。オイストラフやミルステンなども、ポッジの楽器を購入したようです。僕が弾いたヴァイオリンは、状態がよくポッジ独自の音の鳴りがありました。駒の振動が楽器全体にビリビリと伝わり、空気もビリビリと揺れるような音です。細工も裏板の木も素晴らしいヴァイオリンでした。価格は、2500万円以上はするそうです。

 

 

④Giuseppe Antonio Rocca(ジュゼッペ・アントニオ・ロッカ 1807年~1865年)

波乱の生涯を送ったトリノの製作家で、葉加瀬太郎さんが使用していることでも有名です。僕が弾いたのは、1840年代の楽器ですが、パワーのある楽器で、低弦の迫力も凄かったです。ソリストが求める音のパワー、音色を持ったヴァイオリンでした。

1845年~1860年に製作された楽器で状態のよいものは、6000万円以上するそうです。

 


 <写真は、クレモナのヴァイオリン博物館に展示されているGiuseppe Fiorini ジュゼッペ・フィオリーニ のヴィオラ>


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モダン・イタリアン・ヴァイオリンの世界はとても深くて、興味が尽きません。

底なし沼ですね。