HYTSヴァイオリンな日々

ヴァイオリンの魅力と謎について日々思うことを書きたいと思います。

オックスフォード<アシュモレアン博物館>

んにちは、HYTSです。



オックスフォードのアシュモレアン博物館について、書きます。




行き方ですが、



ロンドンのパディントン駅からオックスフォード駅まで鉄道で一時間です。

オフピーク(混まない)の時間であれば、鉄道料金は、安くなります。


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アシュモレアン博物館は、オックスフォード駅から徒歩10分程で着きます。






入場料は無料。

イギリスは、美術品は皆で共有しようという考えがあり、凄いです。



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アシュモレアン博物館に行く目的は、やはりヴァイオリンです。







展示コーナーには、ヴァイオリンの名器がズラリ....。



ちょうどよい明るさで、ニスの光沢感を間近で感じることができます。



中央に飾ってあるヴァイオリンは、ストラリヴァリウスの1716年製メシアです。


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メシアは、ストラリヴァリウスの遺族から、サラブエ伯爵が買取、その後ヴァイオリンハンターのルイージ・タリシオの手に渡ったようです。




ヴァイオリンハンターのルイージ・タリシオが、フランスの楽器屋に行ったとき、




「実はストラリヴァリの工房で出来たばかりのような、ストラリヴァリウスを持ってる。最高に美しいヴァイオリンだ。いつかみせるよ。」





と自慢していたと逸話があります。




しかし、待てど待てどタリシオは、そのヴァイオリンを持ってこない。



本当か分かりませんが、




「タリシオはあのヴァイオリン全然もってこないなぁ...。あぁ、救世主(メシア)のようだ! 」




と叫んだとか...。




結局、タリシオは死に、自宅に厳重に保管されていた場所で、このヴァイオリンが発見されたそうです。



このヴァイオリンの保存状態は、今でも、ストラリヴァリウスの工房で出来たばかりのような状態で、ヴァイオリンが輝いています。





メシアは、ヴァイオリン製作家ジュゼッペ・アントニオ・ロッカがメンテナンスを担当していたこともあるようで、ヴァイオリン製作者達に大きな影響を与えた楽器でもあるようです。




メシアは、演奏されることなく、永久にこの状態で保存されるヴァイオリンのため、音を聞くことができません。




録音されたものもないため、今生きている人で聴いた人はいないでは....。




ヴァイオリンは、弾くことで楽器が振動し、弾きこまれることで音に深みが出て来ます。





しかし、弾くとは消耗することかもしれません。弾く人間としては残念ですが、楽器も使うことで、寿命に近づくという考えでしょうか....。






結局、現在状態が最高として、高額で取引されているのは、長い間貴族やその遺族が保管し、弾かれていないというものも多い気がします。




いずれにせよ、メシアは演奏されないという楽器です。





きっと素晴らしい音も、保存されているはずですが。


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でも、僕思うんです。



夜中の博物館で、誰かメシアの誘惑に負けて、こっそり弾いた人はいないのかな....って。

ロンドン<王立音楽院ミュージアム>

こんにちは、HYTSです。


イギリスについて、書きます。


18世紀〜19世紀の石炭の利用、蒸気機関の発明・活用で、産業革命の中心として経済発展したイギリスは、世界中から美術館を収集した国でもあります。


ロンドンでは、クリスティーズなど、有名なオークションハウスがありますね。


オークションハウスは一年に数回、絵画や宝飾品などのオークションを開催しており、現在でも世界中から様々な骨董品が集まってきます。


弦楽器を専門に取り扱うオークション会社もあります。


また過去ロンドンには、ヒル商会など有名な弦楽器店があったため、ストラリヴァリウスやガルネリデルジェスなどの名器が沢山集まってきた歴史があります。


イギリスの美術館には、素晴らしい名器が現在も収蔵されているものもあり、ヴァイオリンに出会うという意味では、非常に楽しい街でもあると思います。



ロンドンには、王立音楽院ミュージアムがあり、ここで名器に出会うことができます。


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無料で入場できたのですが、ミュージアム自体は2階、3階に弦楽器と鍵盤楽器が展示されており、非常にコンパクトです。


展示されているのは、ストラリヴァリウスの1709年ヴァイオリン、1696年ヴィオラ、ニコロアマティの1662年のヴァイオリン、ガルネリデルジェス1734年のヴァイオリンです。


僕のように、楽器をみるのが大好きな人にとっては、コンパクトな展示スペースでも1時間はあっという間に過ぎてしまいます....。


パガニーニ肖像画の展示もありました。


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ストラリヴァリウスの1709年 ヴィオッティ(ex.Viotti)の周りを何周もしてしまいました。


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このストラリヴァリウスは、1824年ヴァイオリニストのヴィオッティの死後、オークションで売り出されるなどして、所有者を転々とし、1928年から80年程はある一族が所有していたとのことです。


その後、2005年に王立音楽院が取得したと説明にあります。


赤いニスが輝いて、本当に美しいヴァイオリンでした。


ヴィオッティは、ヴァイオリンの歴史の中で、非常に重要な役割を持った人なので、また書きたいと思います。


このヴァイオリンに会えて、ロンドンが一層好きになりました。


音も聴いてみたかった.......。



サントリーホール

こんにちは、HYTSです。



サントリーホールって、素晴らしいですよね。



サントリーホール大ホールは、2006席という大人数を収容できるホールです。視覚的にも安心感のある設計で、ホールを、見渡してみると、床や壁に、沢山オーク材が使われています。



ホール自体が楽器となって、音楽を暖かい響きにしてくれるホールだと思います。




サントリーホールでコンサートがあると、どの席にしようかな、と悩んでしまいますが、これが楽しいです。




何故かというと、席によって音楽の聴こえ方が変わるからです。




個人的には、どの席がいいとか悪いではなく、それぞれの席で楽しみ方があると感じます。




個人的な意見ですが、例えば



・1階席 前列

演奏家の表情、息遣いなど臨場感味わえる。

迫力満点。


・1階席 後列 中央、2階席 中央

オーケストラの弦、菅がバランスよく混ざりあって、全体のハーモニーを楽しめる。


・2階席  舞台見て左上

ヴァイオリンのソリストの運弓がよく見える。上に飛んでくる音が聞こえる。コンサートマスターの肩の動きが見える。


・舞台後方

管楽器の音が聞こえる。指揮者の合図もみれて、オーケストラに座っているよう。




昔は、コンサートチケット買うする時、人気の前列が消えているとテンションが落ちていました。


しかし、今は色々な聴き方を覚えつつあるので、どこにしようかと楽しく選ぶようになりました。




ヴァイオリンの音は、遠くに飛んでくる音も魅力的です。



また、サントリーホールに行きたいなぁ。


国際コンクール

こんにちは、HYTSです。


最近、国際コンクールの本選の演奏がYouTube でも見れるようになり、素晴らしい演奏をみることができますね。


エリザベート王妃国際コンクール、カール・フレッシュ国際コンクール、ユーディ・メニューイン国際コンクールなど緊張感溢れる演奏が映像で見れるのは、プロアマチュア問わず、ヴァイオリンを勉強する人であれば刺激になります。


日本人の演奏家の方の活躍もみれて、ゆくゆくその方の演奏を、日本のコンサートで聴ける機会もあるかと思うと、楽しみになります。


ユーディ・メニューイン国際コンクールは、マスタークラスも公開しており、先生方も錚々たる方々。指導法も様々で、演奏・練習の奥深さを知ることができます。


15年前は、遠い国の出来事で終わっていたのに今はこんなに身近に見て聴けるなんて...。スマートフォンは凄いなぁ、と思います。




国際コンクールの音源で、大好きな演奏があります。


1967年エリザベート王妃国際コンクールの優勝者の音源です。


優勝者はフィリップ・ヒルシュホルンで、パガニーニヴァイオリン協奏曲第1番を演奏しています。


第1楽章のあるフレーズを聴いていると、行ったこともないのに、ジェノバの海を思い浮かべてしまいます...。


カデンツァは、凄まじい集中力で弾いており、イヤホン耳当てたまま、口ポカンとしてしまいました。


国際コンクールという極度の緊張感の中で、奇跡的な演奏だと思います。


この音源、コンチェルトなのに、第1楽章が終わった途端、会場から割れんばかりの拍手が巻き起こり、その様子まで聴けます。


会場全体、彼の演奏に惹き込まれたであろう拍手も圧巻です。


この演奏を聴いてから、ヒルシュホルンの色々な演奏も聴いています。


コンクールは聴く側も、思い掛けない音楽との出会いがありますね。


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はじめてのアマティ

こんにちは、HYTSです。


自分のヴァイオリンという楽器自体に興味を持った原体験の1つを書きます。


中学生の一年生のころ、目にした楽器が、ずっと心に引っかかっていました。


京都にお住まいのヴァイオリンの先生がお持ちだったアマティのヴァイオリンです。


その頃僕は、海外の寮制の日本人学校に通っていて、休暇期間だけ東京に戻り、ヴァイオリンを習いに京都に通っていました。


先生のところに通ったのは、一年程の短い期間でしたが。


先生のレッスンは、なかなか厳しいレッスンでしたが、先生の音が膨よかな素晴らしい音だったので、お手本を弾いて頂く時は、ついつい聴き惚れてしまうこともよくありました。


その先生が、レッスン中に、テーブルの上に置いたヴァイオリン。


当時中学生一年生だった僕は、その楽器に只ならぬオーラを感じました。


自分が知っていた多くのフルサイズの楽器よりも、膨よかな形で少し小さめでした。色は赤く、年輪を感じさせる木でできていて、あぁ綺麗な楽器だなぁ、と思いました。


後で先生の楽器は、アマティの楽器と聞きました。


今では、アマティ一族の製作者について、アンドレア・アマティ、ニコロ・アマティなど誰か分かりますが、その頃はアマティという名前しか知らなかったので、今ではそれ以上のことは分かりません。


しかし、僕にとっては、はじめて楽器が綺麗だと思ったはじめての経験だったのは確かです。


先生には短い期間お世話になっていたので、それきりですが、あの楽器と先生の音は心に引っかかったままです。


時は過ぎて...


2018年7月、イギリス出張の空いた時間に、オックスフォードのアシュモレアン博物館に行ける機会がありました。


そこで、目にしたのは、ニコロ・アマティの傑作「アラード」でした。


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暫く楽器の前で動けませんでしたが、あの時の楽器に感動した実感を、もう一度感じることができました。


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はじめてヴァイオリン綺麗だなと思ったこと、ヴァイオリン弾く人それぞれあると思います。


あのアマティはどうしてるかな...。


自己紹介

こんにちは、HYTSです。


僕は、2018年現在32歳で、会計の仕事をしながら、ヴァイオリンを弾いています。少しですが、ヴァイオリンのコレクターでもあります。


3歳からヴァイオリンを習っていますが、プロではありません。


高校生までは、ヴァイオリンをそれなりに練習していました。しかし、その後大学、資格試験、仕事と続き、暫くヴァイオリンにあまり触れることなく、日々を過ごしてきました。


そんな僕が、3年ほど前に、あるきっかけで、製作家にヴァイオリンをオーダーしました。この新作ヴァイオリンを手にし、ヴァイオリンの魅力に引き込まれてしまいました。


現在ヴァイオリンという楽器に触れらること、プロではないにせよ弾ける日々を送れていること幸せに思っています。


ヴァイオリンの魅力、謎、日々感じること、旅のこと、自分自身の実践など、書きたいと思います。


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