HYTSヴァイオリンな日々

ヴァイオリンの魅力と謎について日々思うことを書きたいと思います。

ロンドン<オークション>

こんにちは、HYTS です。


今回は、ロンドンのヴァイオリンオークションについてです。


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僕はプロのバイヤーではないですが、参加したこともあるので、知っている限りで書いてみます。



ロンドンには、複数のオークションが、年に数回行われます。私が知っている限りですが、



・Tarisio London 

Brompton’s Auctioneers

・Ingles & Hayday

・Amati Auctions



あたりで、オークションを開いていますね。


ネットオークションも導入されていて、競りの場にいなくても、参加できます。ネットオークションのみのところもあります。




Tarisio London は、3月、6月、10月にオークションが行われていて、品物をPublic Viewing でズラっと2日間程並べます。



Public Viewing は、複数のオークションハウスも同時期にやるので、一回の渡英で複数のオークションの出品物を確認することも可能です。




プロのディーラー、ヴァイオリンコレクター、演奏家、愛好家など色々な人が見に来ます。




個人的に、オークションは、とても真剣な場だと感じます。



プロのディーラーさんにとっては、買付の機会でわざわざ旅費を払ってくるので、大切な仕事場でしょうし、本当に楽器が欲しいと思ってくる演奏家もいると思います。参加する側も真剣にみてこそオークションを楽しめるのではないかと。





プロじゃない人でも、素晴らしい楽器に出会いたいと情熱と、少しの英語力があれば、オークションハウスの方も、丁寧に出品のヴァイオリンについて教えてくれます。





落札方法、手数料、付加価値税ワシントン条約のポリシーなど、詳しくサイトに記載しています。





ヴァイオリンは、セットアップされているものも多くあり、実際に弾けるので、色々な楽器に出会えるチャンスではないでしょうか。





オークションハウスは、出品される楽器をカタログで紹介しています。カタログはとても重要なものです。





そのカタログには、オークションハウスが製作家の真作だとした場合はBY、可能性があるとしか言えない場合はPOSSIBILYなど、記載されています。




また素晴らしい作品はFINE、良い作品はGOOD、珍しい作品はRARE、来歴などで何か重要性がある作品はSIGNIFICANTなど、記載しています。






ただし、ヴァイオリンのコンディション、製作家による真作か、出来不出来などの最終的な判断は、全て参加者の自己責任なので、オールドヴァイオリンなどは、僕を含めてプロでない人間は、相当な覚悟がない限り、手を出せません。





オークションにでるものは、製作家の中で特上品は少なく、中程度のものが多いかなという印象です。




これは、特上品は、オークションよりも相対取引を選択する方が、売手にとって有利と判断される場合もあるためと、聞いたことがあります。





オークションは、美人コンテストのようで、ヴァイオリンが格付されます。自分達の愛情持っていた楽器が、脚の長さ、鼻の高さ、顔立をみられ、値付けがされていきます。こう考えると、無情な感じがしますよね.....。





いずれにせよ、オークションは、ヴァイオリンを本気で購入したい人には、とても興味深いものです。





オークションをみて、個人的な印象ですが、コンディションと作品の出来不出来のレベルによって、同じ製作家の作品でも、もの凄い価格差が付くなと感じました。


コンディションは、やはり値付けされる上では、とても重要な要素になるようです。


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少し話は逸れますが、




格付が無情なオークションみていると、僕はヴァイオリンを改めて大事にしたいと思いました。



金銭的な価値も大事ですが、自分にとっての価値もとても大事だと思います。




ヴァイオリンは、自分が生きている間保有していても、自分が死んだらどうなるか分かりません。



それなりに頑張って購入したものでも、結局その後どんな格付がされるかわかりません。



もしかしたら、鑑定書と一緒に真作だと購入したものでも、偽物だと言われてしまうこともあるでしょう。



勿論、思い掛けない価値で将来評価されることもあるでしょう。




でもその人は、ヴァイオリンとは長い間一緒にいたでしょうし、音に耳を傾けてきたはずです。




分からないからこそ、日々メンテナンスして大事に向き合いたいと思いますし、無理して購入したものであれば、無駄なキズはつけないよう現在のベストコンディションで保ちたいものですね。




将来どんな値付けされようとも、自分のために歌ってくれたヴァイオリンですから。